設計事務所やゼネコンじゃなくても合格できた一級建築士のブログ

奇跡的に取得できた一級建築士の資格について、合格までの軌跡を記録し、自分と同じ境遇の方に参考にしてもらえたらと思いはじめました。

一級建築士を取るまで(製図2回目当日)

2018年のサプライズ

問題用紙が配られはじめてすぐ、会場内に動揺が走ったのを感じました。
(問題用紙がA2になってる…!)

周りを見渡したとき、多くの人がより緊張を強くしたように見えました。

一方私はというと、笑いが止まりませんでした。


毎年何かしらかのサプライズを盛り込んでくるこの製図試験。

前年は下書き用紙に配置図が食い込む、巨大車回しという謎の要求を受けるなど、頭が真っ白になりエスキスが上手くまとまりませんでした。


今年はその反省を踏まえ、自分なりにこんなサプライズがあるのでは、と心の準備をしてきました。

・プールの階指定
・巨大吹き抜けの要求
・基礎指定(べた基礎以外)

ですが、まさか問題用紙が倍の大きさになって出てくるとは!
試験時間は変わらないのに、正気の沙汰とは思えない!

おかげで開始10分はニヤニヤしながら課題文と向かい合っていたと思います。
(にらめっこなら確実に負けてます)


でも、冷静になって見てみれば、A2になった部分は、

・配置図が大きくなったこと
・地盤に関する情報が増えたこと

程度だと気づき、気にすることは無いと開き直れました。


製図試験は相対評価です。

周りの受験生が動揺しているなら、ミスを少なくとにかく描き切ることが合格につなかるはず。

そんな予感が試験開始早々に頭をよぎりました。

試験中の自分より試験前の自分を信じる

自分の予感を信じて、とにかく事前に決めていたタイムスケジュール通り、

エスキス2時間
記述1時間
作図3時間
見直し0.5時間

を意識して作業を進めます。


エスキス途中にはこんな波乱もありました。

・面積オーバーに気付き建物の外形を不整形に修正。

・3階にトイレがないと気づきギリ空きスペースと呼べる箇所にトイレを継ぎ足し。

・南1箇所だった出入口。複数箇所あった方がいいと判断し、急遽西にメイン、東にサブエントランスを追加。

空調機械室が無いことに気付き、風除室を削り無理やり作図。

・栄養ドリンクの作用かトイレに4回行きたくなる。

・そもそも丸特をどう判断するかに迷う。

・屋外の避難経路の描き方がわからない。


単なる抜けで、書くことで対処できる点は修正しました。

しかし、悩んだ部分については現時点で確実な正解が自分の中に無い事が明白なので、直感を信じ考え込まないようにしました。

そうすることで、少しでも作図や記述の時間を取り、提出する回答の精度を高める事に集中しました。


試験中は頭をフル回転させているので、色々なことが気になります。

でも気になったことの正解を探してしまうと、そこで時間を浪費するハメに。

そのため、私は気になったことは極力無視していました。


みなさんも実感できると思いますが、答えが覚えている事柄って大概パッとわかるんです。

気になる、悩む時点で試験中としてはアウトだと思っています。

だから、わかる事、自分がコントロールできる事に集中するようにしました。


試験後振り返って

昨年同様、あっという間の6時間半でした。

それでも2回目はやり切った感がありました。


帰りの電車に揺られながら、振り返って気付いたミスはこれ。

・1階吹抜け部分の防火区画してない。

空調機械室が小さい。

温水プール室用の空調機械室が明記できていない。

・機械室扉、防火設備にしていない。

・吹抜け上部のトップライト描いてない(記述と不整合)

・建物が不整形。

・東西出入口用の庇描き忘れ。

・ゴミ置き場描き忘れ。


そして自分にまだ足りていないと思う能力はこれ。

・防火区画、防火設備への理解不足

・整形でつくる意志

・作図表現能力


振り返り終わったときには、正直今年もダメかな、と思いました。

それでも2か月後、合格発表の日に自分の名前がありました。

奥さんが泣きそうになりながら喜んでくれたのを覚えています。

泣かなかったけど。

なぜ自分が合格できたと思うか

2018年度の合否の特徴は、ランクⅣが25.9%だったことでしょう。

例年10%前後が平均値であることを考慮すると非常に高い比率だったようです。

それだけ一発アウトな回答をした受験生が多い年度だったのだと思います。

(私の知り合いにも建蔽率で引っかかった初年度生がいました。)


そう考えると、私が合格できた理由は、本来ランクⅠ・Ⅱを争う人たちがランクⅣになったからではないか、と思うのです。

学校の課題ではランクⅠだった実力者でも、当日のミス次第で落ちるんです。

そして試験前まで実力的に劣っていたとしても、当日の出来次第で合格できる可能性は十分にあるんです。

これが私程度でも合格できた理由ではないかと。。。



誰でも試験が近づくにつれて不安が大きくなると思いますが、最後の最後まであきらめず、自分がコントロールできることに集中しましょう。

以上駄文ですが、誰かの参考になれば幸いです。

一級建築士の免許を得て思う感謝、今後

2月21日、一級建築士の免許ができたよという通知が到着。

2月26日、建築士会に取りに行って、無事正式に一級建築士を名乗れるようになりました!

免許を持つと、実感が湧いてきます。

実感が湧いたついでに、この記事では免許を前にして浮かんだことを綴ろうと思います。

本当に取れるとは考えていなかった

私、他の記事でも書きましたが、当初は半分本気半分惰性で勉強していました。

それが徐々に習慣に変わり、知識に変わり、使える技術に変わっていきました。

それでも、本当に取れるとは考えていなかったんです。


ブログのタイトルにもしている様に、私は設計事務所にもゼネコンにも所属していません。

不動産管理会社の建設部門=建設業を主業務としない環境で仕事をしています。

一級建築士事務所の看板を掲げ、設計監理も請負も両方やる会社ですが、あくまで管理業から派生する修繕や改修がメイン。

しかも内容は設備工事や電気工事がほとんどで、新築なんて全く知りません。

おまけに入社直後から会社の風土に違和感ができてしまったため、長く勤めることも無いと思っていました。

そう言いながら気付けば今年4月で満10年が経ってしまうのですが。

まぁ、こんな環境だからいつまでも建設業に携わることは無いだろうし、その後使う確率が低い資格を取っても役立たせることができないしなぁ、なんて受かってもいないのに考えていました。

それでも勉強を続けてきたのは、応援してくれる人、自分がやってきたことの証明、こどもが生まれたからでした。

応援は力にも重圧にもなる

私のことを1番近くで応援してくれたのはもちろん家族です。

妻は時に励まし、時に労いのことばをかけ続けてくれました。

こどもたち、特に上の子はパパママと遊びたい盛りに片方が欠けていて、特に運動会が製図試験の日程と重なった2年間について、我慢を強いてしまったと思います。

2018年12月に合格がわかり、来年からは運動会行けるよ、と伝えたときの喜ぶ姿がそれを物語っていました。


そして私が後に引けず建築士を受け続けた最大の理由に当たるのですが、お世話になった会社の上司からの応援もありました。

新人として今の会社に入社し、最初に様々な指導をしていただいたMさん。

結婚式のスピーチもしていただきました。

この人は私のふた回り年上で、私より長い期間、中断期間をはさみつつ、私より多い回数試験を受け、今の私よりひと回り以上も上の年齢で一級建築士になりました。

私も合格の時部下だったのですが、人員不足の中プレイングマネージャーをやらされ、どこに勉強する時間と体力を隠し持っていたのか未だ不明ですが、その時の姿は今も記憶にあります。


私の異動後も、Mさんとは私の結婚式出席メンバーで行う飲み会で年に1、2回会う機会があり、会うたび「今回はどうだった?」「俺より若いんだからがんばれ」と気にかけてもらっていました。

でもこの応援、当時はキツかった。

頑張れど頑張れど合格に至らない日々。

先が見えなくて手を止めたくなる。

でもその時浮かぶのは、もし受験を止めたらMさんはたぶん残念がるだろうな、がっかりするかもな、そうさせたくないな、ということ。

これが浮かぶと止めるという選択肢を選べませんでした。

負けず嫌いがうずくというのも若干ありましたが。


今だから実感していたことを整理できます。

応援は力を与えることも、逃げ道を塞ぎプレッシャーを与えることもあるんです。

そしてその時受けていてネガティブに捉えていた行動や感情は、結果が出ると変わることがあるんです。

Mさんからの応援は当時最大の試験を止められない理由だったはずなのに、止めなかったから合格できた、に変わるんです。

だから、応援はあった方が継続できる、とか応援がないとプレッシャー無しで楽だ、とかそういうことを言いたい訳ではありません。


応援されている皆さん、心に染みる応援はそのまま受け取り、プレッシャーになることばは心をマイメロにして放っておきましょう。

https://t.co/UQW91APKak


だって1番努力をするのは受験生、時間を1番犠牲にするのも受験生ですから。


周囲に受験生がいて応援している皆さん、1番の応援は受験生の環境を整えてあげることだと私は思いました。

気が散りそうならテレビの音を小さくする、ストレス発散したそうならお出掛けさせてあげる、もしくは付き合う、何もしなくていい時間を作ってあげる、家事・育児をする、気を遣ってる・やってあげてる感を出さない、仕事を引き受けてくれる、などなど。

受験生は頭を使い、心の中の葛藤とも頑張って戦っています。

そう、既に頑張っているんです。

応援する方にもよるかと思いますが、ことばより行動が有り難いと思います。


自分がやってきたことの証明

私は入社当初に、大手設計事務所の方々と忘年会をする機会がありました。

そこで聞いたのは「建築士の資格は、足の裏の米粒だ」というもの。

取らなくても食っていくことはできるが、取らないといつまで経っても気持ち悪い…ということだそうです。

このことばは有名らしいので、言い回しは違えど聞いたことがある方もいると思います。

私も会社の主業務ではないながら建設業に携わった身として、ことばの意味がわかる部分も出てきました。

でも私は気持ち悪さよりも、自分がやってきたことの証明書として、一級建築士という肩書がほしかったんです。


もし転職するときに経歴を聞かれ、建設業務に従事しました、と実績を伝えても今の会社は管理業がメイン。

相手に自分のやってきたことを理解してもらう、認めてもらうことができるか定かではありません。


でも一級建築士だったら?

主業務ではなくても、一級建築士になる程度には努力、経験を積んだ人間なのかも、と見えると思うんです。

昨今、東大生という肩書が重宝されるように、そこまでのブランドがなくとも自分の実績の裏付けにはなると思ったんです。


資格を持っていなくても素晴らしい技術を持った方はたくさんいます。

でもその技術は見せる場が無ければ認めてもらえないかもしれないんです。

肩書はその技術を見せる場を作りやすくするものだと思っています。

ここを、自分のやってきたことに自信を持って進みはじめる、出発地点にします。


こどもが生まれた

独身時代、先述のMさんから「こどもが生まれるまでに取ったほうがいいぞ」とよく言われました。

アドバイスを受けたものの、こどもがいるかいないかで何が違うか、私も生まれるその瞬間まで全く理解していませんでした。

自分の時間が無いんです。

ビックリするぐらい。


これは決して悲しいことではありません。

自分の時間が無くなる分、新しい幸せな時間が増えるんです。


でもときどき、気持ちに余裕が無いときに、こどもがいないうちに取れてれば、まだこどもがいなければ、と思ってしまいました。

後悔です。こう思ってしまったことも後悔です。

こんな後悔をしておいて、もしここで建築士を諦めたら、ことばに出さなくてもこどものせいで諦めたことになると思ったんです。


将来こどもと昔話をすることになったとき、自分の話を封印したくありません。

でも諦めた話をしたらもしかしたらこどもが自分のせいかも、と考えてしまうかもしれません。

そうさせないためにも、将来自分がこどもに好き勝手語ってウザいと言われるためにも、がんばりました。


これから先のこと

一級建築士に合格してから、視野が大きく広がりました。


今の会社に残り、肩書を裏付けにもっと発信力を持って成長を目指すのもひとつ。

自分の名前で建物を建てるために、設計事務所で勉強するのもひとつ。

企業内建築士として活躍できる新たな場を求めるのもひとつ。

老いが始まった父親の仕事(消防設備士、個人事業主)を手伝い引継ぐのもひとつ。


これだけの可能性が見えてきたんです。


どの選択肢を選ぶのか、それとももっと別の道が開けるのか、これから行動してみたいと思います。

もちろん今まで通りかそれ以上の努力を伴って。

ただひとつ言いたいのは、やらない後悔よりやって後悔したいです。

どうか先の自分が結局何も変わってないじゃん、と思わないよう、今後も精一杯の努力を重ねたいと思います。

ゾーニング勉強のための塗り絵 with C

製図試験の基本、ゾーニング

ゾーニングということばから、私のように普段設計なぞしてない人間でも意味はわかります。

でも、ゾーニングをどう行えばいいのかは全くの別問題。

基礎にも関わらずここの理解が追いつかなかったことが、製図初年度の不合格につながったんだろうと考えています。

なにせ初年度は、7m✕7mグリッドで南北3〜4マス、東西6〜7マスをまず並べて箱を作り、その箱の中に要求室をどう並べればきれいに納まるだろうか、と考えるのが精一杯だったし、作図スピードにも不安があってエスキスはとにかく早く終わらせなきゃ、と考えてばかりだった。

(のちに作図スピードは半分はエスキス精度の問題だと理解しました)

そしてランクⅢで不合格になったあと、改めて製図試験の勉強をし直すにあたり、ゾーニングについて見直すことにしました。

2年目は長期・短期とも通学しないことに決めていたので、まずは「製図ウラ指導」を購入し、過去の標準解答例を見比べてみることに。

うーん、これだけではさっぱりわからない。

ゾーニング色塗り

そこで、標準解答例をA3用紙に出力して、利用者ゾーン、管理ゾーン、共用部、と色を塗って視覚化してみる事にしてみました。

塗りぬり、ぬりヌリ。

マーカーを使って色分けをしていたら、こどもが興味を持ちました。

「それお仕事?」

うーん、違うけど、将来的にお仕事につながるかな、と思いつつも「これは建築士の勉強だよ」と答えると、

「私もやりたい!」

と予想外の申し出が。

確かにこのときの状況、こどもから見たら…いや傍から見ればただの塗り絵を楽しんでいるおっさんの図でした。

せっかくの申し出なので、徐々に手先が器用になってきた当時3歳児に「ここを水色で塗ってくれる?」と頼むと、

「わかった!」

とやる気満々。
さっそく大胆な筆使いで塗り絵を始めた。

こんな感じで一生懸命集中すること20分。
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「パパ、お仕事って大変だね」

と労われてしまいました。

いや、お仕事じゃなくて製図の勉強だし、本当のお仕事はもっともーっと大変だよ、と言いたかったけれど、それは20年後には変わっている価値観かもしれないし、変な植え付けをするのも嫌だったので止めました。

塗り分けてみた結果

各図面を色分けしてみて、結果感じたのは以下のことでした。

・(当たり前ながら)各ゾーンが概ね固まっていること。
⇒飛び地にならない。

・ゾーンが混在するときも、扉で仕切るなど何かしら配慮がされていること。

・共用部はボリュームの大きいメイン部から必要に応じて枝(廊下)が発生するイメージ。

・面積の大きな要求室は目立つ
⇒ここで変なミスすると採点に響くかもしれない。

・巷で流行りと言われていた塗り絵によるストレス発散効果。

・こどもと塗り絵は楽しい。こどもへの刺激にもなる?
⇒余談ですが、うちの子はこの後「カンドゥー」という職業体験施設に遊びに行った際、「建築士やりたい!」と興味を持つ様になっていました。

色塗り後の製図の変化

これをやってから、ポイント図の意義も感じられるようになってきたし、エスキスしながらこの辺が利用者ゾーン、管理ゾーン、と意識が行き届くようになりました。

私のようにゾーニングの理解に悩む方や、製図初年度を迎える方、そしてこどもを抱えて製図勉強をしている方に、試しに実践してもらえると、新しい視点を得たり、気分転換にもなると思います。

お試しいただければ幸いです。

孤独の中で励まされたことばの数々

勉強はしんどい

建築士の勉強に限らず、努力というものは学校に通っていても独学でも基本は孤独です。

人に応援されることでやる気が出ることもありますが、自分の心持ち次第では応援が逆にプレッシャーになることもしばしば。

応援を力に変えるために、何でもポジティブに捉える力を身に付けると、あらゆる努力に使えると思います。

こんな偉そうなことを書き連ねてしまいましたが、一方ストレスで潰れそうになった事が何度もあります。

そんな時、これから紹介することば達に励まされることがありました。

励まされたことば

「学科試験では創造力が求められ、製図試験では事務処理能力が求められる」

書籍『合格者たちの勉強法』より。

製図1年目が終わり、2年目へ気持ちを向ける過程でこの本の紹介ブログを読んでいて見つけたことばです。

「製図で意匠面のセンスがある気はしないけど、事務処理能力なら人並み程度にはあるな」と思うことで、製図試験は超えられない壁ではない、とポジティブに保てたと思います。


「1.001 365 1.440」

出典不明。
昨日より0.1%の成長を、1年間毎日続けると、44%能力が上がる、という計算の数字を羅列したもの。

1日における0.1%とはわずか2分弱。

学科70点の人が毎日2分努力を重ねたら、机上の計算では1年後に100点取れるようになるのです。
(重ねた努力が失われない前提ですが…)

私も最初の数年間は70〜80点前半だったので、コツコツでも続けようと思わせるこの数字には力があると思います。

パッと見、何の事だかわからない点も気に入ってます。


「大事なのは、職業や肩書きではなくて、準備だ。」

伊坂幸太郎小説『フィッシュストーリー』より

小説の中でこのことばが使われる意図とはちょっと違うかもしれません。

私には、「普段設計をしていなくても、作図に触れていなくても、準備ができれば合格の可能性はある」と解釈できました。

準備次第で自分でも戦える、と思い込むことが製図試験への壁を低くしました。

小説『フィッシュストーリー』は短編集なので、勉強の息抜きにもオススメです。


「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。」

井上靖より

どこで知ったのかわからないのですが、元は小説家の方の言葉のようです。

ネガティブよりポジティブに考える方が物事うまく進むと思います。

製図試験の採点基準がわからない!など嘆くより、一級建築士を取れたら自分の名前で建築物を残すんだ!と言う方が心が前を向くと思います。


「やりはじめないと、やる気は出ません。脳の「側坐核」が活動するとやる気が出るのですが、側坐核は、何かをやりはじめないと活動しないので。」

池谷裕二著『海馬 脳は疲れない』より

脳の仕組みについて説明する中での一文。

この仕組みを知ると、やる気が出ないとき「やらないとやる気は出ないのだから行動しろ」と自分に発破を掛ける根拠になり、少し動き出しがよくなります。


「俺が48になって受かるんだから、俺より若いお前だってできる。」

会社の上司より。

このブログを書くキッカケにもなったことば。

部下として働いている最中、上司は一級建築士を取得。

途中間が開きつつも学科4回、製図6回目のチャレンジだったらしい。

二周りほど歳の離れた大先輩が目の前で取得してしまったため、否が応でも説得力持ち、背中を押してくることばでした。


「自分の力でどうにもならないことについては、あれこれ考えません。」

松井秀喜より。

勉強中、色々な憶測で悩むことがあった時、このことばを思い出します。

例えば、

・今年のサプライズは何が出るんだろう?
⇒試験元が決めることだから、いくら考えても正解はわからない。

・杭基礎出たらどうしよう?
⇒正解と言えるかは試験元次第だけれど、実際にあるものだから一定の回答方法は検討できる。

といった具合。

今の悩みは自分でどうにかなるか?ならないなら気にせず進め、と。

時間は有限、悩んで考えて答えが出ないなら、少なくとも勉強においてはその問いに価値はありません。

悩む時間を努力に当てましょう。


自分の支えを持つ

ご紹介したことばの中に、刺さるものはあったでしょうか?

また、支えにするものはことばである必要はありません。

私が大好きなテニスマンガ『ベイビーステップ』の作中、主人公のコーチであり元プロテニス選手でもあった青井コーチがこんなことを言います。

「迷う状況を全て何かに託すことができて、その結果を受け入れられたら…強いだろうなって」

日本において宗教を持つ方は少ないでしょうが、自分にとって信じられる何かを持つというのは、心が折れそうになった時に支えになってくれると思います。

勉強に励む人の支えになるような紹介が、1つでもできていれば幸いです。

製図試験2年目の勉強②(エスキス・作図あり)

場所によって勉強内容を変える

スケジュールを決め、課題も検討しました。

ではその課題にどう取り組んでいくか。

私は課題に関する勉強について、平日は以下の決めごとをしていました。

・製図板は家にしかない。だから家では作図をする。
(9月以降はエスキスメインに変更)

・通勤中は未動き取れない。だからスマホで指一本動かせばできる記述の暗記か作図に関する情報をインプットする。

・会社の休み時間はデスクがある。だからアウトプット、主にエスキスをする。

平日の限られた時間を、環境別に分けて取り組むようにしてみました。

休日は家で6時間30分みっちり模試です。

作図よりエスキス

作図はとにかく手順を守ること、繰り返し練習することによって、次どうするんだっけ?と悩まないレベルに達したら十分だと思います。

理由は、そこから先のスピードアップはエスキスの質によるところが大きいから。

エスキスに描くべきことが描かれていれば、それを写すのが作図の作業になるので、悩まずに済み手が止まりません。

私は1年目でエスキスが粗かったため、作図中にこんなことに悩んでいました。

・この部屋の平米数はいくつだ?計算しなきゃ。
・避難経路はこれでいいのか?
・宿泊室、トイレ内はどういう構成にしよう?
・階段はどっち回りだ?扉はどこに設ける?
・この空きスペースはどう処理しよう?

1つひとつは他愛もない悩みですが、これらにつまずくたび作図の手が止まります。

手が止まると、作図スピードはその都度ゼロから加速しなければいけません。

仕事中に声を掛けられてやっていたことの手が止まった時、再開するのにえーっと次は…と考えませんか?あれと同じです。

作図中に手が止まることがあったらそれをメモしておきましょう。

メモの原因をつぶせれば、作図スピードはドンドン上がります。

会社でのエスキス

私は平日は会社でエスキスに取り組んでいました。

まずは使っていた道具をご紹介。

使用道具

・ノート

オキナ プロジェクトリングA4
A4、方眼紙、折りたたんで使える、という条件で探してこのノートにしました。
元々書き心地などは気にしてませんでしたが、使いやすく、結局エスキス以外でも利用するようになりました。

シャープペンシル

ぺんてる シャープペンスマッシュ0.5mm
amazonでNo.1に輝いたシャープペンシル
非常に軽く、手にフィットする大きさで、ガタツキの無さからストレスなく筆記ができます。
エスキス、記述、作図(柱以外)はすべてこれで対応しました。

・シャープ芯

ぺんてる シュタイン替え芯2B 0.5mm
製図をするようになって初めて複数の芯を比較してみましたが、種類によって書き味が違うことを実感しました。
同じ種類の芯でも濃さによってまた違う。
私にはこれが1番ノッて描ける芯でした。
描く気になる芯かどうか、満足のいく濃さが出るかをいくつも試すことをおすすめします。

フリクションボールペン4色

赤を課題用紙への書き込み、青をエスキス使用に分けて使っていました。
黒と緑のところには予備として赤青リフィルを挿してました。
フリクションは無くなるのが早いので…

・定規

会社の同僚からもらった三角定規を使用。
直角部分を右上に向けて使うことで、効率よく線が引けます。
(ノートがリングタイプなので直角部分が下を向くとリングに引っ掛かる)

・消しゴム

大小2種類携帯していました。
でも大抵大しか使わない…


エスキス例

これらの道具を使ってエスキスをしていました。

下のエスキス写真は、スマホに撮っておいた2018年TAC課題3のものです。

取り組み始めの頃のものなので、プランとしての甘さは目をつむってください。
(あくまでこの道具でこうエスキスしてたよ、という例)

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そして作図後はこうなりました。
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課題内容が気になる方は、TACホームページにH29、H30年度の課題PDFが公開されてますのでそちらをご参照ください。

https://www.tac-school.co.jp/kouza_kenchiku/kenchiku_tekichu.html


エスキス手順は海豆研究所さん、書籍の製図ウラ指導、TACの3ヶ所から学んだ情報を、自分で使いやすい様にカスタマイズして取り組んでいました。

エスキスに何描いてるのかわからない、そして知りたい、という稀有な方がいらしたらご連絡ください。

できる範囲ご説明を尽くします。

以上が私のエスキス例+作図でした。参考になれば幸いです。

製図試験2年目の勉強①

不合格から得たもの

1年目は予想通り不合格、でもランクⅢでした。

合格発表時に出される標準解答例を見て、自分のプランが如何にただ居室を並べただけのものだったかが実感できました。

自分のプランがひどくて解答例と比較するまでもありませんでしたが、一方で今回ランクⅣではなくⅢであったことで収穫もありました。

・作図密度がなくても、要求室の条件に合致できていなくても、ランクⅣにはならない。

⇒外構はほとんど描けていない、断面図スカスカの状態だったが図面未完成扱いではないということ。
⇒南東配置の要求室を北側にしてしまったが、要求を満たせていなくても即ランクⅣではないということ。

・2つ提示される解答例を見ても振れ幅がある。

⇒基本を押さえ要求を満たせば、後は法の許す範囲で自由だということ。


これがわかっただけでも、心の中で製図試験のハードルが下がった気がしました。


2度目の試験に向けたスケジュール

心機一転、年始にまず行ったのは、これから試験日までのスケジュール作成。

逆算してどのタイミングで何ができていないといけないかを考えながら、以下の様に組み立ててみました。

といっても、私以外には伝わりづらいかもしれませんが…
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個別に解決したい点を箇条書きして、月別スケジュールを右側に据え、まずは大雑把に試験日までの流れを決めてみました。

指針となるものが整えば、実行に専念しやすくなります。
(実行が伴うかは別問題)

実際に実行できたこと

組み立てたスケジュールや内容の良し悪しはさておき、組み立てた計画をどこまで実行できたかというと…

✕9月までに完成形でいること
⇒ギリギリまで試行錯誤の日々

○通勤中の記述勉強
⇒特に構造、設備は先行して覚えると課題発表後の勉強時間を他に使える
⇒最終的に記述は50〜60分で、悩む時間少なく完了

✕1日1枚作図(平面図or断面図1フロア分)
⇒最初の1ヶ月は週2、3枚程度
⇒春頃から家庭、仕事とも忙しく課題発表前はノー作図

○課題文のどこがどう表現されたか学ぶ
⇒窓は本当に一本線でいいのか、扉の表記にはどんな種類があるかなど、細かい点で悩まなくて済むように

△テキストを頭から見る
⇒部分的につまみ食い

○基本的な数字を覚える

△断面図描きまくる
⇒昨年より10分速くなった程度で終了、大体30分くらいかかる

○作図スピードアップ
⇒課題によって変動はあったが最終的には2時間45分〜3時間15分、平均3時間といったところに落ち着いた

△見て写すだけのエスキス作り
⇒昨年よりエスキス精度を高くした
エスキス精度が高いと作図で悩まないので作図スピードが速くなる

⇒精度の高いエスキス1/400を速く完成できれば作図も自動的に速くクオリティの高いものになる!


✕手が自動で動く領域
⇒課題を解きながら次の作業工程を確認することで手が止まることはなくなったが自動はムリ

△線のメリハリ
⇒全体として線が薄くなければOKと割り切り

△図面をエスキス化
⇒昨年の課題だけ試しにやってみたが意味を感じられず止め

○同じ課題で色々なパターンを作ってみる
⇒課題発表後の勉強方法、自分の中の引き出しが増えていくのを感じられた

△過去問に慣れる
⇒課題文見て解答例見て、を繰り返し、表現を確認


見返してみても、やはりできる場所が限定されるものが手が付きにくくなる傾向がありました。

社会人の多くは場所も時間も限られています。

自分の弱い点のどこを強化すれば製図試験の合格に直結するか、吟味して効率的なスケジュール管理しましょう。

私は見て写すだけのエスキスを2時間でまとめることを最優先とし、記述は個性は要らない定型文を覚えることに専念しました。

次回は、実際にやっていたエスキス勉強の内容を記事にします。

製図試験、1回目終了直後のメモ

2017年に受けた製図試験1回目の、試験直後のメモ、反省が残っていました。

 

変に文章化するよりも受験直後の感覚が伝わる気がするので、そのままここに残します。

 

前半は自己採点(チェックと反省)、後半は気持ちの部分のメモです。

 

自分の中で落ちて当然、といった気持ちがあった事がよくわかります。

 

参考になる点があるかわかりませんが、反面教師として目を通して頂けると幸いです。

 

2017/10/08 18:20:00

・単純に時間が足りない
・作図が遅い?
⇒それはある。今回も3h30mかかってエスキス通りは完成してない…
 
・一方でエスキスがまとまり切らないから後工程で手戻りになってない?
⇒本試験だけで言えばエスキスは悪くない。
⇒でもエスキス時点での確認はできてない…結果、余計な付け足しをしてミスを増やした
 
・記入漏れがチラホラ
⇒練習不足。書く手順、チェック項目、手順が体系化できていない、刷り込まれていないから、都度手が止まる
 
・手はとりあえず動かす努力してたと思う。でも、止まる瞬間があった。
 
・記述は、構造と設備をどんな課題でも書けるようにしておけば、7月以降が楽。
 
・テキストは網羅しておくべきか。書く、描く含め
 
・線のメリハリ、どうすりゃつく?
 
・特別特定建築物の基準は覚えること
 
エスキスから図面を描く練習が必要
 
・図面をエスキスにしてみるのも役に立つかも
 
・定期的に図面は描かないとだめ
 
エスキス作成の要を掴めるように練習
 
・どの項目が何を意図しているか、読み取る力をつける
 
・過去のミス総ざらい
 
・来年までの挑戦スケジュールを作る
 
・たった2ヶ月で何となく勝負出来た気がするんだったら、来年でいける!気がする
 
・逆に来年だめだと、カド番のプレッシャーはハンパないとおもう
 
・合格者の分析⇒ユープラ参加⇒図面再生
 
・製図の本を読み漁る

 

2017/10/08 18:24:46

とりあえず製図試験終了。腕がしんどい。後悔がいっぱい。
 
試験が近くなると色々なモノに逃げるのはいつもの悪い癖。
 
逃げたくなる時期にやる事を始めから整理してスケジュールに組み込んでおく。
学科でもそうだった。
 
あと2回しかない…あと2回もある。後者の考え方で、悠長には構えない。
余裕ある取り組みをしたい。
 
80%は力を出せたと思う。今の実力はこんなもん。
落ちても納得するしかない。
 
元々ラッキーでチャンスもらったんだ。
あと2回も希望を持って戦おう。